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ラノベにおける「共和国」の扱いに関して色々思う所

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[togetter]早稲田の政治学の教授が「ラノベなんかをたまに読むんですがねェ……そこに出てくる異世界では“〜共和国”という名称なのに王族や姫がいるんですよォ、日本の共和・君主制に関する教育がいかに疎かか〜」と言った? Link

この辺りを見て、個人的に思ったことをば。

前提として、国の名前はぶっちゃけ自称であり、特に中世は(実際に有ったかどうかは別として)まごう事なき独裁国家が「共和国」を自称していたとしても、外部の人間が内政干渉的に「そんな名前を付けてはいかん!」などと取り消しをする事は出来なかった……はずです。出来たらゴメンw

それでも国の名前がその政治の実態と大きく異なれば、周りの国がうさん臭く思い信用を得られないため、自国がそういう名前を名乗ることについて内部で反対を受ける可能性は高いでしょう。しかし、君主が高いカリスマを持つような君主制国家なら君主があくまでも「国の名前に『共和国』を付けたい!」と主張すればそれを止めるのがかなり難しいことは想像に難くありません。

なので君主国家に対して「この国は共和制をしいている」と作中で説明しているのならそれは間違いですが、国の名前がそうなっているだけならばそういう国の存在があり得ないとは言えないと思われます。国政の実態にかかわらず。ファンタジーだしねw

ただおそらく、教授の指している作品群の作者たちはそういう方向で深く考えたわけではないでしょう。具体的な作品名が出ていないので、はっきりした事は言えませんが……。

一般的にありそうなケースを考えますと、おそらく作者は「王政でありながら主君が国民を愛し、国民主導っぽい平和な政治が行われている国家」みたいなものを安易にイメージして「共和国」を国の名前に付けたんだろうと思われます。

これがもし、「歴史大河ロマン」みたいなものを宣伝文句でうたっているような作品なら、君主国が「共和国」を名前につける理由をきちんと説明しないと、作品として薄っぺらい感じになると思います。

が、そうではなく単に主人公が大活躍する姿を描くことを主眼においているのなら、主人公の活躍を描かずに国の体制について細かく何ページも書くのはむしろ興醒めの場合もあるでしょう。

なのでそういう場合、背景も一切説明せずに「共和国」の一言で済ませたほうが活劇として評価される場合もあると思います。専門家が言う所の誤用を行って興醒めになるのは、この場合ごく一部なのではないでしょうか。

ただ、ツイートを読む限り、おそらく教授は上記で述べたような事は理解しつつ、その上で「自分の専門に関する内容で斬新な表現を見て、思わず吹き出してしまった。全く日本の教育はwww」程度な意味合いでツイートしたんだろうと思います。

自分も例えば「コンピューターウイルスがコンセントから電線を伝ってPCに感染した」みたいな内容を目にすれば、表現法としては理解しても、そりゃあ「アホかwww」と吹き出しますw

ちなみに、この話題が気になって色々調べていく中で興味深かったのが「共和政ローマ」の話。この時代のローマは共和政とうたいながら「元首」「貴族」「平民」が三つ巴で政治を行う混合政体でありました。

「共和政であって共和国じゃないじゃん」と言うかもしれませんが、この国の正式名称は「レス プブリカ ローマ」訳して「ローマ共和国」。彼らは昔そう自称していたのです。

しかし、のちの1700年後半に本当の意味でのローマ共和国が樹立されたので、歴史上ではそれと区別するために今はその時代のローマは「共和政ローマ」と呼ばれているのです。そんなわけで、知識人の中には「古代ローマ共和国」と呼ぶ人もいます。

個人感では「古代ローマ共和国」と呼ぶ方が正しい感じがしますが、自信ありません。てか、どちらでも構わないと思いますw

ただ、上記解釈はあくまでも私のような素人がたまたま目についた記事をいくつかまとめただけの話であり「『古代ローマ共和国』と呼ぶのは間違っている! 許さん! 絶対に『共和政ローマ』と呼称しなければならない」とする人たちからすれば、信じる別の真実や理論もあるのでしょう。ただ、ここで「共和政ローマ」が正しいか、それとも「古代ローマ共和国」が正しいかを明らかにすることに意味は無いと思います。

言いたいのは、「古代ローマ共和国」が正しいと思っている人たちが少なからずいて、そういう人たちはよほど矛盾がない限り共和国に姫様がいても「まあ、そういう事もあるかもね」と軽くスルーするんじゃないかと思うんです。

そういう、すんなり話を受け入れられる人、あるいはどうでもいいと思っている人向けに話を作るか、あくまでもきっちりとしたい人向けに話を合わせて作るか、どちら向けに話を作るのも、それは自由なのではないかと思うのです。


ただ……、「君主制国家が共和制国家を自称する」というのは、それだけで話が一つ作れそうなネタなわけでw 個人的には、その辺りに気が付かず何も考えずにナチュラルに命名したっきり放っておくのはもったいない気がします。やっぱり勉強は重要ですw


あとこのあたりの記事も面白いです

○最近のライトノベルは「共和国」をどう描いているか? - WINDBIRD Link

○統治形態とそれによる国名の命名規則 - 西洋ファンタジー用語ナナメ読み辞典 Tiny Tales Link

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