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起承転結と三幕構成

CATEGORY作法
先日、「漫画のかき方全百科」のまとめの流れで、起承転結について説明させていただきました。

ただ、世間では最近「三幕(八場)構成」を推す傾向にあり、起承転結はむしろ問題があるとしている人もいます。実際、三幕構成の方が作法としてより具体的であり、今からやるなら三幕構成を勉強した方が色々近道だと思います。

それでも作法に関して不慣れな人から見ると、三幕構成は具体的であるが故に初期段階で理解しなければならない事柄が多く、いきなりは難しい作法であるとも思います。そういう人は、まず起承転結や序破急で作品を構成できるようになってから、次の段階として三幕構成に理解を進める方が難易度が低いと思われます。

そこで問題になってくるのが、「承」と「転」の役割です。


■起承転結の問題点

さて、さきほど「起承転結はむしろ問題があるとしている人もいます」と書きましたが、具体的に何を問題視しているのでしょうか?

先日、序破急の説明で「起承転結の起と承をまとめて序としたのが序破急」と書きました。この内容は全百科の記載をほぼそのまま書いた物であり、おそらくは多数の方がそう認識していると思います。

起承転結に問題があるとしている人はこの「起と承をまとめたのが序」という部分を「起と承を一つにすると序が長くなり中盤に「転」が入り事件が始まるので、物語がダレた感じになる」と問題視しているのです。確かにこれは問題と思えます。

ただ、個人感では起承転結の問題というより、「起と承をまとめたのが序」という定義あるいは認識に問題があると思うのです。


■本当に「破」=「転」か?

そもそも起+承=序とする把握の仕方は転と破、結と急の内容が近しいものである所から来ていると思われます。結と急の類似性は疑う部分がないとして、しかし転と破は同一と考えていいのでしょうか?

まず具体的な認識として、「転」は状況の転化を担ない、「破」は対立、衝突、事件の発生を担うとされています。確かに対立、事件の発生などは状況の転化の典型的な例であり、類似性は一見疑う余地がないように思えます。

しかし、状況の転化は事件の中では発生しないのでしょうか? 例えば犯罪事件が発生して手がかりが見つからず悩んでいる状況から、手がかりが見つかり事件が解決に向かう流れも転化と言えるのではないでしょうか?

また物語を構成する役割を考えた場合、転は結(あるいはオチ)を効果的に表現する為のスパイスみたいな役割も期待されており、この辺を加味すると、「事件の始まり=転」とするより「事件解決の糸口が見つかる=転」とする方が、転としての役割を果たしていると言えます。


■承でも事件の始まりは担える

そして「事件解決の糸口が見つかる=転」と考えた場合、当然事件の始まりはその前の段である承で表現される事になります。

そして一般的な定義では、起で示された設定がそのまま展開するのが承であり、役割としては起の補足説明を担っています。

したがって例えば起で探偵が示され、転で探偵の活躍が表現され、結で探偵の名推理が披露され解決するような話なら、承で事件そのものの説明が入ることは定義的になんの問題もなく、また承の担う役割を十全に生かした使い方と言えます。


■承の使い方・転の使い方

まとめます。

つまり、起承転結について定義されている内容をそのまま受け取って表現しても、起承転結否定論で言われている問題を解決できず、物語が前半間延びしてダレ、大した変化もしないまま終盤を迎え、そこで読者置いてきぼりの超展開を迎え、ぽかーんとした状態で結末を迎える話にしかならないのですw

ですから、転が表現する物は状況の変化だけではなく「話の方向の変化」でなければなりません。承は単に起の続きを表現するものではなく「起から転へ話を繋ぐもの」でなくてはなりません。

起承転結から物語作法に入る人は、こう考えておくと後々進みやすいと思います。


■起承転結と三幕構成の互換性

ちなみに、以上のように考えた場合、起承転結と三幕構成はある程度の互換性を持ってきます。すなわち

起 = 第一幕「設定・メインキャラクターを固めるための説明」

承 = 第二幕前半「ファースト・ターニングポイント、対立・衝突、困難の発生とアプローチ」

転 = 第二幕後半「混沌への急降下、セカンド・ターニングポイント、状況の転化」

結 = 第三幕「解決」

厳密に上記のように区分出来るわけではないですが、起承転結から入った人はこんな感じで認識しておけば三幕構成について理解がしやすいと思います。


次回は、全百科まとめに戻り、ストーリーのコツについてまとめます。

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